初動が大事だと言われるけれど、それはレートとルールによると思う。勝利にどれくらい影響するかはさておき、プレイヤーとして実力が初動で伺えたりする。
初動はイレギュラーが起きにくい。試合の途中だとラインのあがっている位置、塗り状況などによって敵の動きを予測するなかでイレギュラーが潜むことがある。しかし、初動はお互い同時にスタートし中央へ向かう。塗り状況も平等に何も塗られていない。だから、行動に再現性を持たせやすい。
まず、そもそも初動で狙いを持っていない人がいると思う。とりあえず、様子見をするみたいな。これはソロで戦うのには消極的すぎる。同じ様子見をするという行動をとるにせよ役割や目的をもって様子を見るのと、何も考えず様子を見のでは意味が異なる。狙いは必ず持つべき。
初動の狙いは第一の狙い、そして次の展開の狙いを考えたうえで行うことが理想だと俺は考えている。例としていくつかのステージで説明する。
マテガイの場合、初動でこういう敵の配置になりやすい。赤い丸は敵。

その時に、キルを取ってラインを上げる役割(そうした意図がある行動)として左と右のどちらの通路から仕掛けるか?


この場合、左からラインを上げてキルを取るというのが理想だと思う。なぜなら、次の展開というのがポイントになる。仮に左側にいる敵を倒してラインを上げたとする。

ここまで来た時に相手の配置はおおよそこんな感じになり、いい感じでこちらが射線を作れる。

青丸は味方。ラインを上げてこの位置に自分がポジションを取れると、自分の視点で相手を全員把握しやすい。つまり仮に相手がこちらを攻撃してきても射線は1方向からしかもらわないというのもメリット。じゃあ、仮に青側からキルを取ってラインを上げらたらどうなるか?

おおよそ敵の配置と敵の射線はこうなる。

敵の配置がこうなると右を相手にすれば左から撃たれ、左を相手にすれば右から撃たれるので手詰まりを起こす。また、味方が左から先ほどの自分のとった位置にいてくれないと次の展開は見込みにくい。つまり、味方の行動待ち、味方の行動ガチャになってしまう。もし、味方が左から上がって行ったのを確認したうえであれば、青矢印側からラインを上げて先ほどの形を完成させるのはよい。ただ、選択肢のプランAとして味方の行動待ちを選択肢にしておくのは火力武器やキルを狙おうとする武器の考えとしては甘いように思える。
また、壁を登って右の高台を抑えたら強いのではないかというのは選択肢として考えられる。確かに、ここに中射程くらいの武器がポジションを取れば敵をかなり優位に交戦できるだろう。ただ、次に注意する必要があるのはルール。たとえば、これがエリアなり、アサリであれば好手となる。しかし、ホコやヤグラとなると手が弱くなってしまう。理由としては、ヤグラやホコはステージの左側が戦いの位置になる。そのため、右の高台を占拠しても敵は左に流れていくのでここを占拠することの意味が薄い。このあと、敵の後ろから攻めるのであれば高台に入らなくてもいいように思える。
状況によって効果は変わるけれど、総じて主導でキルを取って戦況を作るなら左からあがるというのが初動としていい動きとなる。相手を一か所に追い込んで倒しきる動きとも言える。このように次の展開を考えたうえでどういう状況に敵を追い込んだら有利かというのを考えるといいだろう。
ちなみに、イグザミナーのように機動力はないけれど待ちの交戦を得意とする武器は初動で右の門番になるのは合理的。また、ワカバも右を塗りつつ、敵が前に出にくいようにボムを投げるということで右側を相手に使わせないというのもいい初動の形と言える。前に上がってキルが狙える武器が右を選択するのは消極的に思える。とはいえ、瞬間的にカウントの進むホコで相手のホコ割が強かったら相手のホコルートを抑えることを優先したいということで右にポジションを取るのはあり。
ルールや編成、相手の位置によってこうした狙いは変わるけれど、まず初めに自分がどういう目的でどう動くのか、そして、次の展開はどうするのかをイメージしたうえで初動を考えるのは大事だし、プランAとして自分の明確な形を持っておくといいだろう。そして、そのなかでいろんなパターン、いろんな戦い方、戦うポジションを持っていることで初動の質は上がっていく。
次は地形によって攻めを変えるというもの。タラポートを見てみよう。

タラポの初動でステージの左から上がる場合を考える。

左から攻め上がる場合、地形的に凸凹していて射程を活かしにくい。逆に、地形を使って戦うのが強いブラスター、スロッシャー、ローラー、筆にとっては有効。特に射程が短いのであれば。左高台を相手に使わせないことで、その分の射線が減り中央の戦いが有利になる。また、武器の性質上攻め上がるのにも好都合だったりする。そして、ステージの中央で大事なこの部分(下の画像の赤い射線)を落とすことができる。

ここを占拠できればかなり有利となる。逆に右側はこんな感じ。

右は短射程のシューターやマニューバなどが攻めやすい。中央でやりあっているのでサイドを狙う。何気に低いが段になっていること、ブロックがあることで相手の射線を限定できる。通路が狭くまっすぐなのでボムを投げるのも有効。それと合わせて一気に詰めるというのもあり。ここから1キル入れたりラインを上げることができたらこんな感じ。

そこで選択肢がわかれたりする。

素直にAから一気に敵を倒すのもいいし、Bに展開してもいい。Bに展開されると、敵がBを見ると中央からくる相手に対して背を向けている状態なので、味方が簡単にキルを狙える。マニュー以上の射程のスライド系ならBのほうが有効かもしれない。この選択肢は相手のポジションや自分の武器、味方の位置によって違ってくるだろう。
ちなみに、中央の正面から攻めるのは選択肢としてない。正面は基本的に塗り武器が相手が正面から前に出るのをやらせないための塗りや牽制が行われ、そこに中射程以上が置き撃ちなどで咎めてくる。また、射線も多くもらうのでキルを狙うことができない。何もできなくなりやすいので正面からは狙わない。ただ、相手の力量によってはそこの警戒が甘く正面から詰められるならそれでもいい。個人的にこうした状況を見て判断というのは自分の初動のスタイルが固まったうえでさらに良い選択肢としてやることであって、何もスタイルを確立していない状態でやることではないと思う。
こんな感じで武器の特性によって初動の選択肢を考えるというのもある。とはいえ、狙いはちゃんとあって、左(右)からラインを上げる、そして、重要なポジションを落としきり次の攻撃の展開へとつないでいく。
この他にもその行動によってヘイトをかうとか、狙ったところからアプローチをすることで初動の中央での戦いを有利にできるということもあるので自分なりに一番刺さりやすいという選択肢を持てるといいだろう。なぜ初動でそれをやるのか、どういうことをイメージしているのかというのをはっきりさせておくことが大事だと思う。漫然と相手の出方を見てどうしようか決めるとか、なんとなくSP溜めて使うではなく、どういう狙いがあってそれをやっているのか、次の展開にどう結び付けるのかを見いだす必要があり、それができれば今よりもいいプレイヤーになっているだろう。
レートが上がれば、初動は重要性をもつ。編成によっていつも通りでいいのか、いつもよりリスクをもっていかないといけないのか、逆にリスクを減らして確実にいくべきなのか。また、チームを組んで情報を共有できるなら連携を前提とした初動となりまた違ってくるだろう。初動は考える結構面白くなる。狙いをつけやすく思い描いた通りに序盤の流れを作れたら最高。